■ 雷鼓3 ■




花梨達がいる浜辺から少し離れた岸壁。
その岸壁に隠れる様にして、幾つかの人影が音も無く海辺の方へ通り過ぎ様としていた。
ふと、その中の一人が花梨達の方に目をやり驚きの声を上げた。

「おい、あれを見て見ろ。前の国守じゃねぇか?」

「おお、確かに。」

後から来た者が、下を覗き込み同意する。

「やるねぇ、女連れだぜ?」

「ふうん・・・。」

花梨の方を見ながら、いきなり黙り込んだ片方の男に、もう一人の男がどうした?と問うと、男はにやにや笑いながら、いい事を思いついたからと言って皆を集めて何やら密談を始めた。
どうやら、幸鷹をからかってやろうという事であるらしい。
連れの女(花梨)を攫って、探し回らせて、その間に彼女を京に連れて行って家に帰すという作戦だ。
京に行けばついでにお頭とも会えるかもしれない、というもくろみもあるらしかった。

「いいね!お頭が居なくて暇だったんだ。」

「やろうぜ。」

男の提案に、皆おもしろそうに同意すると、早速とばかりに行動に移った。
こういうお楽しみに関しては、普段以上の能力を発揮する面々ばかりの様で、あまり相談もせずに手際よく事をはこんで行った。




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次回予告(^^)
攫われてきた花梨は、ある部屋に泊まる事になります。
そこへ帰ってきた海賊たちの頭が(誰であるかはばればれですが)現れて!?

あと少しで終わります。