花梨達がいる浜辺から少し離れた岸壁。 その岸壁に隠れる様にして、幾つかの人影が音も無く海辺の方へ通り過ぎ様としていた。 ふと、その中の一人が花梨達の方に目をやり驚きの声を上げた。 「おい、あれを見て見ろ。前の国守じゃねぇか?」 「おお、確かに。」 後から来た者が、下を覗き込み同意する。 「やるねぇ、女連れだぜ?」 「ふうん・・・。」 花梨の方を見ながら、いきなり黙り込んだ片方の男に、もう一人の男がどうした?と問うと、男はにやにや笑いながら、いい事を思いついたからと言って皆を集めて何やら密談を始めた。 どうやら、幸鷹をからかってやろうという事であるらしい。 連れの女(花梨)を攫って、探し回らせて、その間に彼女を京に連れて行って家に帰すという作戦だ。 京に行けばついでにお頭とも会えるかもしれない、というもくろみもあるらしかった。 「いいね!お頭が居なくて暇だったんだ。」 「やろうぜ。」 男の提案に、皆おもしろそうに同意すると、早速とばかりに行動に移った。 こういうお楽しみに関しては、普段以上の能力を発揮する面々ばかりの様で、あまり相談もせずに手際よく事をはこんで行った。 次回予告(^^) 攫われてきた花梨は、ある部屋に泊まる事になります。 そこへ帰ってきた海賊たちの頭が(誰であるかはばればれですが)現れて!? あと少しで終わります。 |